” あらためて、タヒチにとっての今大会に対する位置付けを考えてみたい。まず、彼らは決して「オセアニア最強」というわけではない。もちろんOFCネーションズカップの優勝チームではあるのだが、彼らはこの大会で1度もニュージーランドと対戦していない。ニュージーランドは準決勝で、ニューカレドニアに0−2で敗れてしまったからだ。そのニューカレドニアに対し、決勝でタヒチが1−0で競り勝ち、見事にオセアニア王者となったわけだが、オセアニア内のFIFA(国際サッカー連盟)ランキングを見ると、138位のタヒチは、ニュージーランド(57位)、ニューカレドニア(97位)に次ぐ3番手。ワールドカップ(W杯)予選も、オセアニア最終予選まで進んだものの3位に終わり、プレーオフ進出の道を絶たれている。
一方で気になったのが、タヒチの「国際経験」である。これまでタヒチのA代表は、1度としてオセアニア域外の国際大会に出場した経験がない(2009年のU−20W杯には出場)。ゆえに、ずっとオセアニア域内のチームしか知らず、その中での最強チームは、AFC(アジアサッカー連盟)に転籍する前のオーストラリアであった。とはいえ、さすがにヨーロッパやアフリカは厳しいにしても、たとえばアジアや北中米カリブの国々との対戦経験はあるのではないかとFIFAの検索システムで遡(さかのぼ)ってみたのだが、少なくとも1973年以降は1度もオセアニア以外のチームと対戦していないことが判明した(それだけオセアニアという地域は、世界のサッカー界から孤立した存在だったのだ)。
つまり、この日のナイジェリア戦はタヒチの選手たちにとり、単なる「格上との戦い」以上に、A代表としては実質的に初となる「オセアニア域外」の強豪との対戦ということになる。われらが日本代表にとっても、今大会は「世界の強豪とガチで戦える貴重な機会」であるが、ずっとオセアニアしか知らなかったタヒチにとって、このコンフェデ杯は日本以上に「未知の世界との戦い」だったのである。
タヒチの勇気ある冒険に胸を熱くする|コラム|サッカー|スポーツナビ